一般財団法人を設立するには?手続きと注意点をやさしく解説

こんにちは。東京都千代田区で開業しています税理士の竹岡悟郎です。

「自分の財産を社会の役に立てたい」「公益性のある活動を長く続けたい」──そんな思いを形にする手段のひとつが、一般財団法人の設立です。

一般財団法人は、設立者が拠出した財産を基盤に運営される法人で、公益性のある活動から地域に根ざした取り組みまで、幅広い活動に利用されています。

しかし、設立の手続きは会社設立と異なり、定款の作成や評議員会・理事会などの機関設計が求められるため、専門的な知識が必要です。今回は、設立の流れと留意点について、できるだけ分かりやすく解説したいと思います。

目次

設立の流れと手続きのポイント

一般財団法人の設立は、定款の作成から登記までいくつものステップを踏んで進めます。主な流れを整理すると次の通りです。

  1. 概要を決める
    目的や事業内容、機関構成(評議員・理事・監事)を決め、定款の骨格を固めます。
  2. 定款の作成と公証人認証
    設立者が定款を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。認証費用は約5万円、手続きには事前予約が必要です。
  3. 財産の拠出
    定款認証後、設立者は遅滞なく拠出財産を払い込みます。金銭の場合は銀行口座を通じて行い、不動産などの場合は適切な給付手続きが必要です。
  4. 役員等の選任
    • 評議員:3名以上
    • 理事:3名以上
    • 監事:1名以上
      これらの設立時役員を選任し、法人の機関体制を整えます。
  5. 設立時理事・監事による調査
    拠出が完了しているか、定款や手続きに不備がないかを確認します。
  6. 代表理事の選任
    定款で定めていない場合、理事の互選により代表理事を決定します。
  7. 設立登記
    主たる事務所の所在地を管轄する法務局で登記申請を行います。登録免許税は6万円。提出書類は定款や拠出証明書、役員の就任承諾書など多岐にわたります。登記完了には1~2週間程度を要します。

定款作成の注意点

定款は法人の基本ルールであり、内容次第で非営利型法人になるかどうかも左右される重要書類です。

必要的記載事項

必ず記載しなければならないもので、欠けると定款が無効になります。

  • 目的(事業内容)
  • 名称(「一般財団法人」を含む必要あり)
  • 事務所所在地
  • 公告方法(官報や電子公告など)
  • 設立者の氏名・住所
  • 拠出財産の内容と金額(最低300万円)
  • 設立時役員(評議員・理事・監事)の選任方法

相対的記載事項

記載しなければ効力を持たない事項(例:理事・監事の任期短縮、経費負担に関する規定など)。

任意的記載事項

法律に反しない範囲で自由に規定できる事項。将来的な変更時には定款変更手続きが必要です。


非営利型法人かどうかの分岐

法人税法上、一般財団法人は「非営利型法人」と「それ以外」に区分されます。

  • 非営利型法人:収益事業による所得のみ課税
  • それ以外:株式会社と同様、全所得に課税

例えば、寄付金や会費収入は、非営利型法人であれば非課税ですが、そうでない場合は課税対象となります。
設立の際には、定款の文言や役員構成が非営利型法人の要件を満たしているかを慎重に確認する必要があります。

設立にかかる費用と期間

  • 公証人定款認証費用約5万円+書類ページ数に応じて加算
  • 登録免許税6万円(従たる事務所設置は1カ所9,000円追加)
  • 所要期間:書類準備を含めると数週間~1か月程度

設立そのものは登記が完了すれば成立しますが、準備段階での定款作成や役員調整に時間がかかることが多いため、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。

まとめ

一般財団法人は、設立者の想いを形にして財産を社会に活かすための仕組みです。
しかし、手続きには定款作成・役員選任・財産拠出・登記といった専門的なステップがあり、非営利型法人にするための要件確認も欠かせません。

設立を検討されている方は、専門家と相談しながら準備を進めることで、将来的なトラブルを防ぎ、スムーズな法人運営につなげることができます。

めい税理士事務所では一般社団法人やNPO法人など、非営利法人ならではの会計・税務の悩みに、専門的にお応えします。またマネーフォワードを中心に、クラウド会計の導入から日々の運用まで丁寧にサポートいたします。

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