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はじめての一般社団法人設立手続きガイド|流れ・費用・注意点をやさしく解説
「仲間と一緒に社会的な活動をかたちにしたい」「非営利で信頼される法人格を持ちたい」——そんな思いから、一般社団法人の設立を考える方が増えています。
しかし、設立には法律の知識や書類の準備が必要で、初めての方にとっては少しハードルが高く感じられるかもしれません。
この記事では、一般社団法人の設立に必要な流れや費用、手続きの実務ポイントまでを、やさしく丁寧に解説します。これから設立を目指す方が安心して進められるよう、参考にしていただければ幸いです。
一般社団法人とは?その特徴と設立の概要
一般社団法人は、出資を前提としない非営利の法人です。
営利を目的とする株式会社とは異なり、収益を上げたとしても構成員(社員)に利益を分配することはできません。主に以下のような活動に活用されています。
- 地域活性化や子育て支援などの社会貢献活動
- 業界団体、スポーツクラブ、研究会などの組織的活動
- NPO法人では対応しづらい柔軟な運営を求める活動
設立には社員2名以上が必要であり、法人の目的・組織運営方法などを「定款」で定め、公証人による認証を受け、法務局に登記することで法人格が得られます。
設立の基本ステップ|全体の流れをつかもう
一般社団法人の設立には、以下の6つのステップがあります。
- 定款の作成
- 定款の公証人認証
- 設立時役員(理事・監事など)の選任
- 設立手続きの法令チェック(設立時理事による調査)
- 代表理事の選定
- 法務局への登記申請(設立登記)
それぞれに必要な書類や費用、注意点があるため、順を追って見ていきましょう。
ステップ1:定款の作成と認証手続き
定款とは?
定款とは、一般社団法人の目的や名称、事業内容、組織運営などを定めた「法人のルールブック」です。設立時社員(最低2名)が協力して作成します。
公証人による定款認証とは?
作成した定款は、そのままでは効力がありません。公証人による認証を受けることで、法的に有効な定款になります(法人法第13条)。電子定款による認証が一般的になっており、CD-R等の記録媒体を用意するケースもあります。
認証の申請先
- 所在地を管轄する法務局に所属する公証人が行います。
- 東京都に主たる事務所を置く場合は、東京法務局所属の公証人が行います。
認証の方法と必要書類
現在は電子定款での認証が主流。以下の書類が必要になります:
- 設立時社員全員の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 委任状(代理人が申請する場合)
- (設立時社員が法人の場合)その法人の印鑑証明書と登記事項証明書
費用と期間
- 認証費用:約5万円(定款のページ数によって増加あり)
- 所要期間:約1時間程度(事前予約が必要)
ステップ2:役員選任と法人内容の確認
設立時の役員選任
次に、法人を運営する「設立時理事」や「監事」などの役員を選任します。役員の必要人数は理事が最低3名、監事が最低1名(理事会を設置する場合)となっており、選任された役員は、就任承諾書・印鑑証明書・本人確認書類(住民票等)を予め用意する必要があります。
設立時理事による手続きの調査
選任後、設立時理事は「定款・法律に違反した設立手続きがないか」を確認する義務があります。これを怠ると、将来的に法人の責任が問われる可能性もあるため、慎重に行う必要があります。問題がなければ次のステップへ進みます。
ステップ3:代表理事の選定と登記申請
代表理事の選定
理事の中から代表理事を選任します。定款で定めていない場合は、理事の互選で決定します。代表理事は法人の登記や印鑑登録などを行う中心的な存在です。
設立登記の申請
設立登記によって、法人として正式に成立します。登記は主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行います。
登記に必要な主な書類
- 認証済み定款
- 設立時社員の決議書
- 各役員の就任承諾書
- 印鑑証明書(理事・代表理事)
- 本人確認書類(住民票、運転免許証など)
- 代表理事の印鑑届出書
- 代表理事の選定書(必要な場合)
- 委任状(司法書士等に依頼する場合)
登録免許税と所要時間
- 登録免許税:一律60,000円
- 従たる事務所の追加登録:1ヶ所あたり9,000円
- 登記完了までの期間:1〜2週間程度
設立後の注意点:変更登記と法人の独立性
登記内容の変更義務
設立後、役員の変更や事務所の移転などがあった場合は、速やかに「変更登記」を行う必要があります。怠ると株式会社と同様に過料が科されることもあります。
法人の独立性の確保
仮に設立時社員が株式会社の場合や株式会社の役員と設立時社員が同じ者である場合など、その株式会社と一般社団法人が同じグループと見られる場合には、設立した一般社団法人が他の法人から独立した存在であることを明確にするために、以下のような点に配慮する必要があります:
- 所在地:出資した会社と同じ場所でも構いませんが、物理的に区切られたスペースの確保が望ましい
- 什器・備品:できるだけ独立した物品を使用する
- 文書の保管場所:法人固有の文書保管が可能な環境を整備する
専門家に依頼する場合の費用感とメリット
「やはり手続きが複雑で不安…」という方は、専門家に依頼するという選択肢もあります。
- 司法書士:定款認証から登記申請までを一括代行
- 行政書士:定款作成支援や公証人との連携などが得意
- 税理士:設立後の会計・税務処理の体制を整える役割
費用の目安(目安総額)
内訳 | 費用の目安 |
---|---|
定款認証(電子) | 約50,000円 |
登録免許税 | 60,000円 |
書類取得・備品等 | 約5,000~10,000円 |
専門家報酬(司法書士等) | 50,000~100,000円 |
→ 合計:約16~23万円が一般的です。
まとめ|スムーズな設立のために準備と確認を丁寧に
一般社団法人の設立には、定款作成や公証人認証、登記といった複数のステップと法的な要件が伴います。
費用面では、最低でも12万円〜15万円程度の実費が発生し、外部委託する場合はさらにコストが上乗せされます。
ただし、法人格を持つことで団体としての信頼性が高まり、助成金申請や銀行口座開設などもスムーズになります。将来的な活動の土台を整える意味でも、丁寧な準備と正確な手続きが大切です。
「自分たちの活動を広げたい」「社会に認められる形にしたい」
そんな想いを、一般社団法人というかたちにして、第一歩を踏み出してみませんか?