一般社団法人の理事会運営とは?招集から議事録までの基本をやさしく解説

こんにちは。水道橋の税理士竹岡悟郎です。今回は一般社団法人等における理事会運営について、招集手続きから議事録作成で気を付けることまでを分かりやすくお伝えしたいと思います。

一般社団法人やNPO法人を運営していると、「理事会ってどんなふうに開けばいいの?」「手続きにミスがあると無効になってしまうのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
理事会は法人の重要な意思決定の場であり、きちんとしたルールに基づいて運営することが求められます。
今回は、理事会の招集から開催、議決、議事録の作成や備置きまで、その流れとポイントをわかりやすくご紹介します。

目次

理事会の招集方法と手続きのポイント

誰が理事会を開けるのか?招集権者のルール

理事会は、原則として理事が招集することができますが、通常は代表理事を「招集権者」と定めることが多く、定款でもそのように規定されていることが一般的です。
ただし、他の理事や監事も必要があると認めた場合には、一定の手続を経て理事会の招集を請求することができます。

例えば、代表理事が病気等で意思表示ができない場合など、代表理事による招集が難しいときには、他の理事が直接招集できる場合もあります。

招集通知の出し方と内容

法人法では、理事会の招集通知は会議日の1週間前までに行う必要があるとされています。
通知の方法は特に法令上の指定はありませんが、日付・場所・議題などを記載したうえで、理事と監事に通知を届けるのが一般的です。
メールや郵送、オンラインの連絡手段でもかまいませんが、後のトラブルを避けるため、送付記録が残る方法がおすすめです。

また、定款で定めがある場合を除き、招集通知に明記していない議題でも理事会で決議することは可能です。

手続きを省略できるケースもある

理事・監事全員の同意があれば、招集手続を省略して理事会を開催することも認められています。
例えば、全員が出席予定で議題にも事前に合意している場合などは、こうした柔軟な対応が可能です。
ただし、省略した場合でも、議事録の作成義務は省けませんので注意が必要です。

決議できる内容とその範囲

理事会では、法人運営に関わる重要な事項を決議します。具体的には以下のような議題が該当します。

  • 重要な財産の処分・取得
  • 多額の借入
  • 従たる事務所等の設置・廃止
  • 代表理事や業務執行理事の選定・解任
  • 定款に基づく役員責任の一部免除
  • 事業報告や計算書類の承認
  • 事業計画や収支予算の承認
  • 社員総会の招集決定 など

これらは理事会が法人の意思を決めるための根幹となるため、理事には議題の理解と慎重な判断が求められます。

出席・議決のルール

理事会の構成員は理事全員ですが、監事も出席義務があり、必要がある場合には意見を述べなければなりません。
会議を有効に成立させるには、議決権を持つ理事の過半数の出席が必要です。さらに、その出席者の過半数の賛成で議決が成立します(定款でこれを加重できる場合あり)。

理事は原則として自ら出席して議決権を行使しなければならず、代理人を立てたり、書面による議決は認められていません。
また、特別な利害関係を持つ理事は、その議決に参加できません。

書面決議やオンライン会議の活用

最近では、理事の人数が多い法人や多拠点展開している法人では、電話会議やオンライン会議を活用するケースも増えています。
また、定款の定めがあれば、全理事の同意と監事の異議がないことを前提に、書面または電子的手段によって理事会の決議を省略することも可能です。

議事録の作成と管理のしかた

議事録の記載内容

理事会の議事録には以下の項目を記載する必要があります。

  • 会議の日時と場所
  • 議事の経過と決議の結果
  • 出席理事・監事の氏名
  • 議長の氏名

さらに、出席した理事および監事の署名または記名押印が必要です。
定款で「代表理事と監事のみが署名する」と定められていればその通りで問題ありませんが、定めがなければ、原則として出席した全員の署名等が必要となります。

議事録の備置期間と場所

作成した議事録は、主たる事務所において10年間の備置き義務があります。
これは法人の透明性を確保し、必要に応じて関係者が内容を確認できるようにするための制度です。

理事会の運営においては、「どのように決定がなされたか」を証明するこの議事録が、万が一のトラブルや外部からの指摘に対する防衛手段となります。

まとめ:理事会は法人運営の“心臓部”です

一般社団法人等の理事会は、日々の法人運営を支える意思決定機関として非常に重要な存在です。
招集の方法、開催のルール、決議事項、議事録の取り扱いなど、一つひとつが法律や定款に基づく正確な運用を必要とします。

とはいえ、近年はオンライン会議や書面決議といった柔軟な方法も導入しやすくなってきました。
理事会の適正な運営を心がけることで、法人の信頼性やガバナンスが高まり、円滑な運営にもつながります。

めい税理士事務所では、一般社団法人やNPO法人など、非営利法人ならではの会計・税務の悩みに、専門的にお応えします。またマネーフォワードを中心に、クラウド会計の導入から日々の運用まで丁寧にサポートいたします。

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